11/16/2009

人民元のゆくえ(その3)

為替政策ということで思い出されるのは2007年に中国でベストセラー?になった、「貨幣戦争(宋 鴻兵著)」。本の内容は世の中全てロスチャイルド家等のコントロールされている、、、と言い切ってしまってるところがこの本はよくある陰謀ストーリーものなのでは、、、と思わせてしまうが、2007年の時点で、サブプライムが相当危ない、ということを的確に指摘しており(既に当時他にも声を上げていた人がいたのだろうが)、2008年の状況を鑑みると、完全に眉つばという内容の本でもないような内容です。他にもどうして貨幣を発行する中央銀行が政府と切り離されているのか、等は興味深い内容が記載されています。

最後の章には、中国は金の保有量を増やして、保有する金に裏打ちされた人民元を発行し(=一部金本位制に戻す?)、人民元の価値を高めるべきだ、との提言まであり、中国が外貨準備を米国債ではなく、一部金に振り向けているという記事を見ると、中国の通貨当局はこの本の影響を受けたのか?とも思ってしまいます。今後のドル、人民元の行方から目が離せません。日本も無条件にドル本位制支持、とか言っている場合ではないかと。

「貨幣戦争」は日本語訳「ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ 影の支配者たちがアジアを狙う」(宋 鴻兵 (著), 橋本 碩也 (監修), 河本 佳世 (翻訳) )が出てますので、日本語で読みたい方はどうぞ(ちょっとタイトルがセンセーショナルで売ることを意識しすぎですが、)。(スタートアップ企業なので、こういうアフィリエイトところで細かく稼いでいきます。すいませーん。)

人民元のゆくえ(その2)

8月の第2四半期報告では
「密切关注国际主要货币汇率变化,继续按照主动性、可控性和渐进性原则,完善人民币汇率形成机制,增强汇率弹性,保持人民币汇率在合理均衡水平上的基本稳定。」(pp.48-49)

要は「基本的に安定させます(=ほぼ固定しますよ)」的な表現なのに対し、今回の報告は

「按照主动性、可控性和渐进性原则,结合国际资本流动和主要货币走势变化,完善人民币汇率形成机制。(訳:主体性、コントロール可能であるということ、漸進性、といった原則に照らし合わせて、国際資本流動と主要貨幣のトレンドの変化と結合させて(注:連携させて?と訳すべきか)人民元の為替決定メカニズムを改善していく。」(p.45)

という微妙な表現に変更されています。

基本的には人民元の為替は自由に動かさないけれども、最近の急激なドル高等などを考慮して、多少は動かしましょう、ってなことなんでしょうか。ディズニーランド上海誘致に加えて、「人民元のちょっと切り上げ」まで今月のオバマ大統領の中国訪問のお土産だとしたら、、、中国政府はしたたかだなあと思う次第です。日本政府も何かお土産を用意しているのでしょうか~。今回のオバマ大統領のアジア歴訪のハイライトは中国に持っていかれた感じです、、、いやいや、日米間は身内なのでお土産は不要、ということ?

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11/12/2009

人民元のゆくえ(その1)

今日(2009年11月11日)、中国人民銀行第3四半期の「貨幣政策執行報告」が発表されたことを受けて、これから人民元が対ドルで切りあがっていくのではないか、との観測記事が出ています。

「中国が為替政策に関する文言変更、資本フローなどを反映へ」ロイター
「China hints at renminbi appreciation」(Financial Times

記事によれば、「人民銀行は2005年7月に人民元を切り上げて以来、貨幣政策報告で、人民元相場については「妥当で均衡の取れた水準で基本的な安定を維持する」との考えを繰り返し表明してきたが、今回の報告にはそのような表現がなく、人民元の相場形成に関する基準が変更された可能性がある。新たな表現は「主体性、コントロール可能性、および漸進主義の原則に従い、国際的な資本フローや主要通貨の変動を考慮して人民元相場の形成メカニズムを改善する」とした。」(ロイター記事)とのことです。

実際の第3四半期報告の中身を見てみると、ロイターの記事の表現は、今回の報告書の45ページ目、第5章2節「下一阶段主要政策思路(訳:今後の主要政策の考え方)」にありました。

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11/08/2009

現場からの情報発信をする金融機関を目指して

希合インベストメントは、日本と中国における投資銀行業務の経験者により、日本企業と中国企業の懸け橋となるべく設立されました。

日本においては、中国と言えばとかくネガティブな情報が多い中、香港を拠点とする希合インベストメントは、中国企業の最新動向、中国企業が関連するM&A、投資について現場から情報発信をし、中国企業に関わる関係者の拠り所となるような金融機関となることを目指します。

中国を含む新興国への投資はリスクが伴います。しかしながら、「不入虎穴、焉得虎子(虎穴に入らずんば虎児を得ず)」という中国のことわざにあるように、日本企業はリスクをとり、中国と中国企業への投資を積極的に行うべきであり、そうすることこそが、高齢化が進み、低成長にあえぐ日本経済の処方箋の一つであると考えます。希合インベストメントはクライアントのみならず広く一般にも、中国企業が関連する投資について、リスクのありかとリターンの可能性を分かりやすく情報提供・発信をしてまいります。

本ブログにおいては、情報発信の一環として、South China Morning Post経済日報といった香港で発行される新聞の記事、主要法律事務所、会計事務所のウェブサイトやニューズレターの情報、希合インベストメントが日々の業務で得た情報(ただし顧客の秘密保持義務に抵触しない範囲に限ります。)等、多岐にわたる情報を形式にとらわれずに掲載してまいります。

このブログを通じて、日本企業及び中国企業、またこれらの企業に関わる方々と建設的な議論を展開していくことが出来れば幸いです。

2009年11月7日
希合インベストメント
Chief Executive Officer / 首席執行官
本名 正博