中国は現在営業速度では世界最高速の鉄道を運営しているのだが、これに関する日本の報道が必ずしも多くない。もしくはいかにも「パクリ」を示唆したいかのような報道が多い。中国の高速鉄道は「中国が知的財産権を持つ」(サーチナ(2010年5月29日)付記事)と報道されることが多いだけに、日本では「またパクリか」という反応がかまびすしい。
中国の高速鉄道の車両は、それぞれドイツ、フランス(アルストム)、カナダ(ボンバルディア)、日本(JR東日本、川崎重工)の技術を導入し、開発されている。北京~天津間ではシーメンスのICE-3ベースの車両と日本の「はやて」ベースの車両が同時に走っているという状況だ。鉄道ファンならば本当にうれしい状況だろう。
CRH1型:ボンバルディア
CRH2型:川崎重工(はやての車両がベース)
CRH3型:シーメンス(ICE-3がベース)
CRH5型:アルストム(TGVがベース)
ところが、中国の報道では、中国の高速鉄道は「知的財産を完全に自ら有し」ており、「あらゆる国との間でも知的財産上のトラブルは発生していない」という主張(騰訊新聞2010年3月14日付記事「鉄道部エンジニア『中国の高速鉄道は知的財産のトラブルは発生していない』と発言」)をしているため、日本では「それはおかしい」という反応が出る。
そもそも中国側がこういう発言をするということ自体、実は知的財産が自前ではない、という批判が中国内部でも起きていることを示唆しているのだが。
表面的なところだけを見て、「中国はまた外国の技術を、、、」という反応が出てしまうのも無理はないが、中国鉄道局の発言をよく見てみると決して「中国独自開発の技術」とは言っておらず、「知的財産を保有している」と言っているだけだ。
川崎重工の当時のプレスリリースにはこう書いてある。
「当社を含む日本6社は、JR東日本からの技術移転の受け皿となる光基鉄道システム株式会社を設立しており、同社を通 じて技術使用権を得、四方へは車体・台車の技術移転を、また株州電力機車研究所へは主回路装置などの電機品の技術移転を行います。最終的には、車両小部品についても部品メーカーによる中国への技術移転が望まれています。」(川崎重工2004年10月20日付プレスリリース)
実際に川崎重工から、技術移転が中国の会社になされているようだ。だとすれば、中国政府の発言はある意味正確である。
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